[先人の教え] 剣心一如
12月 03
千里剣心会では、稽古の初めに「剣道の理念」および「千里剣心会の稽古の心構え」を唱和しています。これに合わせて、時間の許すときは講話を組み入れる取り組みを行っております。
10月の言葉は「剣心一如(けんしんいちにょ)」です。熊代先生が子供たちに伝えたい大切なこととして紹介してくれました。この言葉は、木村拓哉主演のテレビドラマ『風間公親-教場0-』において、指導教官役の木村拓哉が生徒たちに語った言葉だそうです。
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剣道場で子供たちに伝えた「剣心一如」という言葉は、正しい剣の修行をすれば、正しい心を磨く結果となるという意味です。秋の剣道大会を前に、子供たちは試合の稽古をしていますが、「勝つためには正しい心が必要である」という風間の言葉をそのまま子供たちに送りました。
「正しい心を磨く」という時の正しい心とは何なのでしょうか?
ドラマにおいて、「何が正しくて、何が正しくないのか」。風間は剣道を通して自分の正しさを探し続けてきました。
正しい剣の修行を探すこともまた、剣の道(剣道)なのだろうと思われます。子供たちには、これから剣道の稽古を続けていく中で試行錯誤しながら、正しい剣の道を見つけていってもらいたいと思います。
参考までに、一つの考え方を示しておきましょう。
剣道は、まっすぐに振りかぶってまっすぐに振り下ろせば、絶対に負けないし、勝てるものだと思います。非常にシンプルなことです。
ところが、この真っすぐに振りかぶることが難しい。また、まっすぐに振り下ろすことも難しいものです。剣道において相手を目の前にして構えた時、まっすぐに構えることもまた難しいことです。中心を奪い合い、自分有利のまっすぐの態勢を作ることが勝利への近道ですが、これがまた難しいものです。
驚懼疑惑(きょうくぎわく)という言葉が示すように、相手と対峙したとき、ただでさえ難しい「正しく構え、正しく振り上げ、正しく振り下ろす」という事が出来なくなってしまいます。これが、心と剣が一つにつながっているという「剣心一如」の教えにつながるものなのではないでしょうか。
驚懼疑惑(きょうくぎわく):相手と対峙したときにおこる心の動揺や心の動揺を抑えきれない状態をあらわしたことば。驚いたり、擢(恐)れたり、疑ったり、惑ったりする心の状態。四戒、四病ともいい、これをいかに制御するかが重要であるという教え。
剣道用語辞典
日頃の稽古において、どのような状況にあっても、平常心を保ち普段の稽古通りのことを常に出来る強い心を練ることが、一つの正しい稽古の在り方なのだろうと思います。打ちたい・負けたくないと、無用な動きをするのではなく、しっかり構え、しっかり攻めて、しっかり相手を観て、ここぞのタイミングで恐れを克服して捨てきる打ちを出し切ること。そんな剣道を目指していきたいと思います。
言うは易く行うは難し
です。
あわせて、心身一如という言葉も知っておきましょう