剣道が上手くなる7つのポイント

No Comments

なつめ社から出版されている「もっとうまくなる剣道」から、剣道がうまくなる7つのポイントを抜粋し、簡略にまとめて記しました。
コメントは、書籍中のコメントではなく、本記事作成者の独自見解です。


1.学生時代にすべきこと


・駆け引きをせずに正々堂々と相手を攻める
・できるだけたくさんの業(わざ)を覚える。
フェイントなどで試合に勝つためだけの技法を磨けば、1本をとるチャンスは増えるかもしれませんが、相手の中心を攻めていく意識を持つことが将来の強く美しい剣道へつながります。また、この時期は技術の体得スピードが速く、どんどん技術を体得することが出来るので、ひとつの得意技に偏ることなく、様々な技の体得にトライするのがよい。

コメント:

小学生、中学生、高校生と、一口に学生といっても様々ですが、まずは基本に忠実な構え、足さばきが大切です。基本が出来ていないのに技の修得ばかり優先させるのは望ましくありません。一方、基本が出来ていないから技の練習をすべきでないかというと、違います。背伸びして練習し、また基本に戻って練習することの繰り返しの中で、基本の重要性が理解できるようになっていくのだと思います。

2.自分の性格を活かした剣道をする


性格の向き不向きはなく、自分の持ち味を活かすこと。剣道は自分の持ち味を活かせる、数少ない精神性の高いスポーツである。
気が強い性格の選手は、「前へ前へ」という気持ちが働きすぎ、不用意に前へ出て一本取られることが多くなる。逆に気の弱い性格の選手は、ここぞの決断が遅れ、なかなか技を出せない傾向がある。しかし、それぞれの性格には良さがあるので、たとえば気が優しすぎる性格であれば、慎重に相手選手の心身の動きを見極められるという特性として伸ばせばよい。

コメント:

自分の特徴を活かすということは、剣道に限らずほかのスポーツでも、社会人として仕事をしていく上でも重要なことだと思います。何が自分を活かす個性であるのかを把握することは難しいことでもあります。修練を積む中で、自分を見つめることで個性の活かし方というものが徐々にわかってくるものなのではないでしょうか。

 
3.身長の低い選手は足を使う


足さばきを駆使し、自分に有利な間を作り出すこと
剣道では、自分と相手選手の接触は竹刀を介して行われ、直接的な力と力のやり取りは少ない。同じ武道である柔道のように体重別によるクラス分けが存在しない。
身長の高い選手に比べ、身長の低い選手はリーチが短いために不利だと捉えられるが、前後左右に足さばきを上手に使うことで、身長の低い選手は、動作が俊敏で小回りが効く利点を活かし、「間」をうまく使うことで、フィジカル面でのハンディを克服できる。

コメント:

「間合い」は、私がもっとも大切に思っていることのひとつです。相手と自分の距離を推し量り、相手には不利だが自分には有利な状況を作り出すことは、勝負の鉄則です。上述の話題の中では、物理的な距離(自分有利の間)を作り出すために足捌きを使って動くことを薦めていますが、「自分に有利な間」には、心理的な間、時間的な間などもあります。

 
4.試合では感情的にならないこと


感情をうまくコントロールし、自分の力を最大限に活かすことが大切です。相手選手からどのような技を仕掛けられても平常心でいられるように、日ごろからタフな精神を養う練習(掛かり稽古など)が必要です。

コメント:

これもまた、剣道に限ったことではないでしょう。自分の感情をコントロールすることは、自分の能力を最大限に発揮する上でとても大切なことです。

 
5.相手の呼吸を乱す方法


「おりゃ~」と気合の大声を発する間に攻撃はなく、気合をかけた後の勢いを利用して攻撃は生じる。これを逆手に取り、相手が気合を入れようとした瞬間に竹刀の剣先を動かして相手の気を引くことで、相手選手はこちらの動きに反応して瞬時に呼吸を止めます。これを繰り返すことで次第に相手の呼吸は乱れてきます。
がむしゃらに打つだけでなく、心理的に相手を攻めることも重要です。


6.試合が膠着したら「大技」を出す。


レベルが拮抗した選手同士の試合では、技のスピード面で大きな差はなく、お互いに攻めあぐねる状況が生じます。最初は「勝ちたい」だった気持ちが次第に「負けたくない」となり、守備一辺倒になりがちです。このようなときに大きく振りかぶって打つ「大技」を用いると、思ってもいない状況に相手選手は「ハッ」と動きを止めることがあります。この「死に体」となった瞬間を逃さずに打ち抜きます。


7.試合後には反省する


「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」という格言があります。自分自身のことは気がつかないこともありますが、試合を見ていた仲間や先輩、先生などの言葉を聞いて、謙虚に足りなかった部分を補う練習をすることが大切です。
以上、「もっとうまくなる!剣道 (スポーツVシリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2007/12/14 卯木 照邦 著」より
 
コメント:
全体的に小中学生の試合を念頭に置いた内容でしたが、日ごろの稽古を行ううえで参考になることも書かれていました。

日本剣道形について_内藤高治先生講話録より

No Comments

水戸藩出身の大日本武徳会” 大日本武徳会剣道範士、内藤高治(ないとうたかはる)先生は、高野佐三郎先生と共に剣道界に大きな影響力を持ち、「西の内藤、東の高野」と言われていたそうです。その内藤先生の講話録から日本剣道形について語った言葉を引用します。
 

元来、形の必要なる所以は、体を備え、気合い・呼吸・着眼・間合・足踏み・手の内・刃先・刃筋等の理を知覚せしむるのが根本である。
一通りの形だけでの練習では役に立たない。故に形を教授するには十分練習して教授しないと立案の趣旨と相違の点も生じて、教える人の動作により同じ形がいろいろに変化するから形の講習は易いようではなかなか至難である。
<中略>
我を去って講習し、この道の研究上有益なることを習う者に知覚せしむること肝要なり。


 
含蓄のある言葉です。
最後の言葉は、自らが教える立場に立ってより含蓄のある言葉に聞こえてきます。

実践の攻め_桜木哲史先生

No Comments

桜木哲史先生は、福岡県柳川市出身、1949年(昭和24年)1月17日生まれの剣士で、第16,18回全日本学生優勝大会優勝、第2回世界選手権大会個人戦優勝ほか数々の大会で好成績をあげ、強烈な攻めから放たれるまっすぐな面が持ち味の先生です。
ベースボールマガジン社のムック本「剣道・攻めの極意」から取材記事の一部を抜粋しました。

  • 先に打つ、仕掛ける、とにかく前に出る勇気を持つこと。
  • 崩れたうちは技前の準備不測を露呈した残骸といっても過言ではない
  • 心・気・力を充実させて、上から乗っていく。究極の攻めは一つ。
  • 戦いの手順ーーー「目で見て、頭で考え、足で打つ」

桜木先生は、「捨て身の技」という表現に対して、不安要素を持ちながらうっていく悲壮感を漂わせたものと解釈しているそうです。しかし、本来は、悲しい結果とならないために99%の確率を持って1本に出来るように精進していくのが本当の意味での攻めの極意であろうと語っています。

  • 真の1本は、攻めが極まったところに放つからこそ、まさに値千金の価値。
  • 単純明快こそ、攻めの極意

上から乗って、相手の枕をほんの一瞬だけ抑えて真っ直ぐに打っていくだけ。桜木先生は、相対する攻め合いの中で、一体どうすれば有効打突が打てるのかということを瞬間瞬間に放つ一本に答えを求め、その答えを導き出していくのが剣道だと語ります。
そして、無駄打ちには二つあるといい、「意味のない単なる無駄打ち」をやめ、「結果的に無駄」を繰り返すことで昇華されていくであろうという意味での無駄打ちを繰り返すなかで、しだい次第に”絶対”を求めていくようになると述べています。


 
以上、
究極を言えば、剣道は「竹刀を真っ直ぐ上げて真っ直ぐおろす」だけの運動ですので、非常に単純といえば単純です。
しかし、相対した相手に対して真っ直ぐ上げておろすだけの面打ちが、如何に難しいことでしょうか!!
「ただ、真っ直ぐに上げておろすだけ」の前にしっかり攻めがあるからこそ、すばらしい一本になるのでしょう。
 
 
 
 
 
 

基本稽古の留意点_注意すべき6項目と美しい姿勢を保つ7項目

No Comments

祝 要司(いわい ようじ)氏は、愛知県小牧市で大人を対象とした稽古会「日曜会」を主宰している剣道教士8段の先生です。ここでは、祝要司先生の著書「社会人のための考える剣道」から稽古の留意点を抜粋して紹介いたします。祝先生は、警察剣士が強いのは、基本稽古に十分な時間を費やしているからだと、ご自身の経験から述べています。
専門家は基本稽古をしているから強い
社会人になると「試合稽古・互角稽古」が中心の稽古内容になりがちですが、試合で確実に有効打突となるのは「気・剣・体一致」の技であり、これらは基本稽古を基礎として成り立っています。
稽古に取り組む姿勢
1.誰のために剣道をやっているのか
2.謙虚で教わる気持ちで取り組んでいるか
稽古前に、これらのことを振り返り、基本稽古を単なる準備運動と考えるのではなく、効果ある基本稽古に努める必要があります。常に忘れず、基本を大切にしたいものです。

稽古時に留意したい6項目

  1. 姿勢(悪癖の姿勢の是正)
  2. 呼吸(下丹田からの気の呼吸)
  3. 構え(気勢を込めた懸待一致の構え)
  4. 足さばき(多彩な応じ技を支える足さばき)
  5. 間合(遠間、一足一刀の間、近間の効用の熟知)
  6. 残心(気勢、体勢の身構え、心構え)

※ 注意すべき項目はたくさんありますが、重要なことは「理合」をいれることです。「稽古とは、いにしえを考える」ですから、先人の教えを考え、工夫するという意味を含めて取り組む必要があります。このことは剣道で言う「守・破・離」につながっていくものです。
剣道修行の「守・破・離」
「守」は、先生の教え、基本を身につける段階。「破」は、さらに自分の考え、工夫を加え、一皮向けた成長度合いをあらわすもの。そして、「離」へと進化を求めていきます。工夫をする上で大切なことは、工夫した結果を必ず検証することです。
 

美しい姿勢を作るために実践する7項目

  1. 蹲踞を充実させて先を取る
  2. 下丹田(下腹部)に力を入れて剣先を効かす
  3. うなじを垂直にして姿勢を正す
  4. 息を持続させ、縁を切らない
  5. 中攻めを意識して意味のある一本を打つ
  6. ひきつけ足はすばやく移動をスムーズにする
  7. 右半身も意識し、打突力をつける

 
構えてから「さあ、いくぞ」では遅く、相手と礼を交わす前から気持ちを整え、ゆっくりと息を吐きながら腰を落として蹲踞をします。立ち上がった瞬間から「さあ、行くぞ」という気持ちで対峙すれば、相手にとっても威圧感の受け方が違います。
対峙した際、臍下丹田に力をいれると、肩などの上半身が力まないのでリラックスでき、左拳が浮くことがありません。まっすぐに竹刀が相手に向かうので体の勢いがまっすぐに相手にぶつかっていきます。
うなじをスッとまっすぐにすると自然と腰はまっすぐとなり、打突時にも腰が早くついてきて足の引きつけも早く出来ます。うなじをまっすぐにのばすことで、目線・剣先がまっすぐになり、左手のおさまりも良くなります。
剣道の基本稽古の一つである切り返しでは、なるべく一息ですべてを打ち切ることがポイントです。吸った分だけ隙になりますので、呼吸の仕方を考えることが大切です。一本振るごとに呼吸をするのは楽ですが、なんとか吸わずに遣り切ろうとする行動こそが修行になるのでしょう。
中身のある(気持ちの入った)攻めを中攻めという。相手とやり取りする中で合気となり、なおかつ攻め勝った一本には、打突までの内容が凝縮しています。ぎりぎりの間合いとなっても動じず、攻めの姿勢を崩さないようにします。三殺法の教えを意識し、偶然の1本ではなく意図的に攻めた打突を出すことを心がけます。
左足は体を支える要です。左足に体重がしっかりと乗っていれば打突動作がスムーズになります。足幅の広さ(なるべく狭い方が良い)、ひかがみの伸び具合、かかとの高さに注意します。左足の引きつけを早くすることで、打突に鋭さが増します。右足で踏み込んだ瞬間に左足を引きつけるくらいの気持ちで望むといいでしょう。
剣道は左半身が重要ですが、右半身を上手に使うことで筋力に頼らず、スムーズな動きをすることが可能になります。意識としては、右足を大きく前に出し、踏み込むように心がけます。そうするとスムーズに左足がついてきます。前に出す意識を怠ると右膝を上げ過ぎて右足を前に出す途中で動きが止まってしまうので注意が必要です。


以上、体育とスポーツ出版社 祝要司著 「社会人のための考える剣道」を参考に作成

袴について 2

No Comments

袴のたたみ方

袴のたたみ方は、多くを語るよりも目で見て聞く方がわかりやすいでしょう。わかりやすくたたみ方を紹介してくれている参考サイトをいくつか紹介いたします。

 
以下は、YouTubeの動画から紹介。

袴について

No Comments

袴(はかま)の折り目はどうして5つ?

 
袴の襞(ひだ)は左右で数が違うのをみておかしいな?なんておもったことはないでしょうか。左右3つずつ6つではないなんて中途半端な気がします。しかし、この5本の折り目には深い意味が込められているのです。
袴の5本の襞は、「五輪五常の道を諭したもの」とされています。
袴の折り目に込められた五倫五常の教えを心に留めて、日頃の稽古終了時に自身の稽古、日頃の行動を見直す心を持つことも大切なことでしょう。千里剣心会では、「お互いを尊重すること」を大切にし、「礼儀正しく」あることを稽古の心構えとして大切にしています。

こうした袴の折り目の意味をわかって剣道具を取り扱うことも、剣道上達につながる一歩かもしれません。

五倫五常とはどういうこと?

■ 五輪とは、儒教における5つの基本的な人間関係を規律する徳目を表し、
1:君臣の義 ・・・ 君臣(くんしん)は義を重んじお互いを思いやる。
2:父子の親 ・・・ 父子は親しみを持つ。
3:夫婦の別 ・・・ 夫婦は互いに役割を持つ。
4:長幼の序 ・・・ 兄弟は互いを愛し、敬って序(上下関係)を守る。
5:盟友のの信 ・・・盟友(固い約束を結んだ友)は信じあう。
の徳目です。
五常とは、人が常に守るべき5つの徳目のことです。
1:仁 ・・・己に克ち、他に対するいたわりのある心のこと
2:義 ・・・正しい行いを守ること
3:礼 ・・・礼儀、礼節を重んじること
4:智 ・・・物の道理を知り正しい判断を下すこと
5:信 ・・・いつわりのない忠実な誠の心
 
ちなみに、後ろの一本襞(ひだ)は、二心のない誠の道を示したものとも言われています。裏の折り目は、以下の二つの意味を持ちます。
1:忠 ・・・ 主君に尽くすまごころのこと
2:孝 ・・・ 親、兄弟を大切にする心のこと

[動画] 稽古・応じ技の基本

No Comments

全剣連による剣道の解説ビデオ第二弾です。英語による解説ですので、英語学習にもなることでしょう。非常にゆっくりの発音で説明してくれています。
基本打突、技
YouTubeへ 元立ちのあり方や正しい打突部位、打突の受け流し方、すりあげ、返し、打ち落としの技についても紹介しています。
応じ技の基本
YouTubeへ 打ち落とし技、抜き技を中心に、体全体を使って応じることを説明しています。刃筋正しく打つことに注意を促し、悪い見本についても言及しています。映像を見ればわかりますが、技の成功には、足さばきが正しくできていることが大切です。ビデオの最後は切り返しで締めくくられています。
剣道の稽古
YouTubeへ  かかり稽古について元立ちのあり方、残心を大切にすべきことが語られます。ビデオの最後のほうには、試合における技の実例が紹介されていますが、突きをかわしての面や小手抜き面の見事な見本は圧巻です。
すりあげ技
以上、YouTube All Japan Kendo Federation video IIIより

勝負の必勝法(竹松健 先生)

No Comments

八王子剣心館道場館長 竹松健 先生は、全日本高齢者剣道大会で優勝7回、準優勝4回の戦績を持ちます。重度の心筋梗塞を経てなお、剣道に取り組んでいます。3度の死を経験したという同氏だからこそ、下記の境地を実践できるのではないかと思います。わかっていても、実践するのが難しい課題です。

構え_頭部のあり方(藩士9段 松本敏夫先生)

No Comments

頭部・・・ 藩士9段 松本敏夫先生の教え

  1. 頭は直立した脊椎に接続する頚椎に安定させることが大切です。
  2. 耳と肩を一直線にする
  3. 首筋と項(うなじ)をまっすぐする(あごを引く)
  4. 奥歯を軽くかみ締める
  5. 下あごに少し力を入れて首筋を垂直に伸ばす
  6. 舌は下あごの中に納める
  7. 髪の毛を束ねて持ち上げられた気持ちになる

備考:上述の教えにこだわりすぎて肩や首に力が入り、硬くなってしまっては意味がありません。

構え_顔(宮本武蔵の五輪書)

No Comments

顔・・・宮本武蔵の「五輪書」の教え

  1. うつむかず、
  2. あをのかず、
  3. かたむかず、
  4. ひずまず目をみださず、
  5. ひたいにしわをよせず、
  6. まゆあいにしわをよせて、
  7. 目の玉うごかざるやうにして、
  8. またたきをせぬやうにおもひて、
  9. 目をすこしすくめるやうにして、うらやかに見ゆるかを、
  10. 鼻すじ直ぐにして、少しおとがいを出す心なり

備考:稽古や試合において疲れが出てくるとだんだん首が短くなります。注意したいものです。

Newer Entries