2016年4月17日の稽古では、「世界で一番貧しい大統領」として有名な南米ウルグアイの前大統領、ホセ・ムカヒさん(80)が先ごろ初来日を果たしたニュースをもとに、子供たちに訓示しました。

ムカヒ氏が有名になったきっかけは、2012年に開かれた「国連持続可能な開発会議」でのスピーチでした。 <貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に欲しがりいくらあっても満足しないこと> 彼は、給料の大半を寄付して農場にクラス清貧ぶりもあって世界に知られるようになりました。
彼の数ある多くの言葉の中で、次のような言葉を子供たちに紹介しました。

「人生で最も重要なことは勝つことではありません。歩き続けることです。それはつまり、転んでも毎回起き上がること、新たに何かを始める勇気を持つということです」

剣道の稽古に限りませんが、最初は楽しいと思って始めたことでも、続けていくうちにどこかで壁に突き当たり、成長を感じられずに悩むことがあるかもしれません。
これまでにも繰り返し、子供たちには継続の大切さを伝えてきていますが、ここで改めて「一つことを続ける大切さ」を伝えたいと思いました。
また、次のようなムカヒ氏の言葉も紹介しました。

「他人に勝つために戦うのは止めてください。そうではなくて、自分自身の心の中にあるものと戦うのです」
「あなたが生きている限り、他者との衝突は避けられません。大事なのはコンフリクト(衝突)を起こさないことではなく、どうすればコンフリクトを解決していくかということです」

生徒の中に「なぜ、他人を竹刀で叩かないといけないんだろう?竹刀で相手を打つと悲しくなってしまう」と悩んでいる子供がいました。「剣道は他人をただ打ち負かすためにやっているのではないよ」と伝えますが、小さな少年に「自分自信との戦いだ」と言ったところで、なかなか理解できるものではありません。
剣道を始めた子供たちが一番最初に躓くのが防具を付け始めた頃ではないでしょうか。初めて防具を付けると、動きにくいし、打たれると痛いし、今まで楽しかった剣道が一気に嫌なものに変わってしまうのも、防具を付け始めたばかりの時期が多いかもしれません。
今、千里剣心会のメンバーは、やっと対面稽古を始めようとしたばかりの状態です。今年は無級の生徒たちも昇級審査を受け、初めての試合にも挑戦しようとしています。
「試合に出たいかい?」と聞くと、尻込みする気持ちも良く分かります。だって、経験がないから少し怖い気もするのでしょう。そんな生徒たちが、自分自身の弱い気持ちを乗り越えて、果敢に初めてのことにチャレンジしよう!
そう思ってもらいたいと願っています。